SPLASH BACK NUMBER

 

VOL.1 (041016)

 それではご案内しましょう。

 高円寺駅からあちこち見ながら3分程歩いてくると天井の高いお店が視界いっぱいに入って来ます、ここがスプラッシュです。 あまり気付いて貰えませんが入り口の階段の所にSPLASHの文字が入っています。 交差点の角なので一寸遠目からなら目に付くのですが、洋服と大きな窓のロフトでパソコンに夢中の私が気になって何だろうこの店は、と思う人が殆どで足下のスプラッシュの文字に気付いてもらえません。 ディスプレーを見て ん!何か有りそう、でもレディースの派手なタンクがあるし、となりのドアには大きめのTーシャツ男物かなァ女物かなァ、なんて考えちゃうみたいで...。 自転車もかわいい! その上にはメンズも有るし、取り合えず入ってみるか。

 そうだ勇気を出して行ってみよう。 GO!GO! 恐る恐る段を上る、見れば見る程女もんばっかじゃん。 どれどれ中は、ッとその前にこのツナギちょっとカッケーこれはどう見てもメンズだろ! はい、おっしゃる通りメンズです。 それのレディースもあるんですよ、なんて彼女にもさりげなく教えてあげたいが黙って見守る....。 よしそれじゃあ中に入ってみよう。 彼女は勝手にどんどん物色し始める、俺はどうしようかななんて考えてるうちにネエネエどうどうこれ私に似合いそう?
 なんて会話が聞こえてきそう、そんなところに「いらっしゃいませ!」一寸見たいだけなんだけどと思いながらグルッと回ってみると、ムム! 奥に何か面白いのが有りそう凄く気になる、でも彼女は商品見てるし傍にいないと悪い気がするし、ああ気になるどうしようまあいいかァ...一人で見に行っちゃえっと。 何やら怪しげなおもちゃがいっぱい、うっひょ〜! とか言ってるうちに彼女に引っ張られ、このワンピース可愛くない? ねえこれ買って! なんて言われちゃったりして。 そこをうまくかわしくぐり抜け奥の方をもう一度、ほらほら色々あるじゃありませんか。

 ケロちゃん・ペコちゃん・サトちゃんから始まりありとあらゆる物がレジのカウンター越しに天井までギッシリ、 うわ!うわ!っていう感じ。 ウイングガンダムが宙を飛んでる、ヨーロッパ・ツアーモデルのスパイスガールズのフィギア、しっかりビクトリアもいる(2体)。 ルパン・スパイダーマン・デビルマン・バットマントーキングバンク・まんまちゃんも飛んじゃって、これ売り物なのかなァ。 どうなんだろう聞いてみようかな? こんな事聞いたら怒られそうだからやめよう。 いや、やっぱり聞きたい! 「これ売り物ですか?」待ってましたとばかりに私は「ごめんなさい。 売り物じゃないんです。」そうだよな、値段ついてないもんなァ 振り返ると彼女は隣に来ていて一緒に見ていた。 こんなケースが家にもあったらおもちゃが飾れるのにね、なんてつぶやいていると「やっぱり色々持ってるんですか?」そりゃぁやっぱり楽しい小物はたいていの人は好きだし、多かれ少なかれ持ってるでしょう。 「僕の部屋にもペプシ系、チョコエッグ系がいっぱいあるんですよ。」すると彼女が「邪魔なぐらいあるよね〜。」やっぱり女の人には解ってもらえないのかなとか思っていたらとんでもない「売り物じゃないんだったら何か買うからこれ頂戴!」とコンタック君を指した。 突然何を言うかと思ったらチョービックリ!

 そしたら「これは勿論自分の物もありますが、お客さんから頂いた物もあって売ったりあげたり出来ないんですよ。」 ですよね。そうでしょうともハイ! 「そういえば、メンズ物もあるんですよね?」「はい、やってますよ!そちらの方が全部メンズですよ。」ということで見てみると有ります有ります奥にはメンズがほとんどでした。 Tーシャツ・ジャケット・シャツ・ロンT・パンツ、さて自分に合うのはどんな物なのか試しに聞いてみよう「僕に似合いそうなの何かありますか?」「そうですねェ。 お奨め商品ていうか売れてる物は¥2,900のこのTーシャツなんですが、似合いそうなのはシュリセルのシャツ¥11,800、アビレックスのT-シャツ5,800です。 似合いそうというか是非着て欲しいです。」「エー 似合うかなぁ..それより値段が高いじゃん。」ひょっとして高いの売りつけるつもり? その手には乗らないように、でも取り合えず着てみるか。

 するとそこにやっぱりあの一言が「着るのはタダだから着てみてください。」そうそう大体殆どのショップの人からお決まりのようにでてくる言葉。 待ってました。 「そうですよね、じゃぁ着てみようかな。」 と乗せられた振りをして袖を通してみる、彼女はというとショップの人に乗せられたように「いいじゃん似合いそうだよ!着てみなよ。」って どうせ人のことだと思って一緒になって乗せようとしてるし、まったくもう...。 だけど暫く鏡を見てるんだけど何もこの店員さんいわないなぁ... 普通この辺でプッシュしてくるだろうよ! とその時、「こっちのシャツ着てみてください。」って別のシャツ持ってきた。

 ¥3,900の半袖のシャツ、そうそうこの位の値段のシャツなんですよ僕が予定してたのは どれッ! 素早くそのシャツを着てみた。「結構涼しげで着やすそうでいいじゃないですか! 似合ってますよ。」 彼女も「あッ いいんじゃない。 ン似合ってるよ!」 「そうかそういえばそうかなぁ...いいかも...。」 さては高い値段の物を見せといて実は簡単に手頃な値段の物を買わせるつもりなの? とか色々考えているうちに「そのシャツに合わせてデニムをこんな感じの合わせてくれればいいんじゃないですか?」 などと言って調子に乗ってパンツまで持ってきた。 やばいっす! セットアップでは無理。 「パンツまでは買えません。」 きっぱり断っておいてッと...。 って ひょっとしてシャツは買うつもり..? オイオイしかもこの人シャツの説明し始めた。  何々 「どちらのシャツも似合ってると思いますよ。 ただタイプ的に言うと細身でシャープな雰囲気なのでエッジの効いてるこのシャツの方がいいんじゃないですか、ちょっと大人な感じで...。 どう思います?」 なんて彼女に振ってきた。 すると彼女は「そうね、確かに大人っぽい、ん〜私は渋めの大人っぽい方が好きかな? それに飽きずに永く着れそうじゃん。」 なんかお店の人みたいなこと言っちゃって、でもほんとにキレイ目な方がいいかも、たまにはこんなシャツもいいかな。 一寸高いけど...。             つづく

 

VOL.2 (050207)

 ある日 様子を見に入った恋人同士の二人、お店の店長に薦めめられるままにシャツを試着する。 取り合えず様子を見に来ただけなのだから絶対に買い物はしないぞ! と思いつつ何だか一寸づつ気持ちが変わってきた雰囲気。

 薦められたシャツがだんだん気に入ってきた彼。 一緒に来ていた彼女と暫く考えてると、そこに店長(私) が「そんなに安くないので一寸考えてみたら、外の椅子でタバコでも吸ってさ。」 エッ! どれ、見るとなるほどいい場所が有る。
「いいんですか〜、じゃァ 座って休むかァ。」 気になるシャツは取り合えず置いといて、フゥ〜。 こんなところで吸うタバコはまた格別です。 「ところでさあ、どう思うあのシャツ?」 聞いてるのか聞いてないのか彼女は、おもむろに財布を出して目の前の自販機でジュースをプハーッ。

 「何か、この場所気持ちいいね!」 「ん!っていうか、聞いてんのかよ!」 「聞いてるよ、いいんじゃない。 かっこ良かったよ!」 「だけど金ないんだよなぁ」  「いいじゃん食事代削れば」という会話があったかどうかは分かりませんが...。  「よし! たまには思い切って買うか。」そんなことで、暫く休んだ後に彼は「店長、そのシャツ買います。」 「えッ ハ ハイ! 有難うございます。 きっと気に入って貰えると思います、大事にいっぱい着てあげてください。」と、そんな会話の中で遂に買ってしまった。 会計を済ませたら店長が「メンバーズカード作ります。」なんて話し始めて、聞けば期限が無いし一杯に成ると2.000円の割引になるらしい。  期限が無いと聞けばやっぱり持ってた方がいいよね、それじゃ面倒だけど貰っとこう。 んッ今日の買い物で結構いっぱいハンコ押して有る、この調子だと早い内に一杯になるかも...。

 そうなんです、ウチのメンバーズカードみんなすぐに一杯になるんです。 だから2.3枚貯めて使う人もいたり、ついこの間も10枚貯まった所で使った人もいました。 10枚分ともなると流石に20,000円なので割引出来る商品が限られてくる。 幸い そのお客さんは気に入ったジャケットが有って、それが21,800円だったのでいよいよ割引交換ということになり、1,800円に消費税で1,890円でお買い上げという事に。 これで安心、やっと交換出来ました。
納得いく商品が見つかって、お客さんにも喜んで貰えたと思う。  ッと、まあこんなエピソードなんかも稀に有る。 皆さんもウチのポイントカードを有効に使ってくださいね〜。
という説明はもうこの辺で終わりにして、そろそろ二人は帰る頃です。

 買い物した彼が、ニコニコしてくれてます。 こんな時なんです、この仕事してて良かったなってつくづく思う。 半信半疑で入って来たお客さんに似合う商品が見つかり、そして気に入って貰える。 お互いの気持ちが何となく通じ合えたかなと思える瞬間です。 彼は、「店長、いい物見つかって良かった。 又来ますね。」 って 嬉しい事言ってくれるじゃないの 、もちろん私も「これを機会にまた寄ってくださいね。」 微笑返し。(気持ち悪い)  良かった、何となく充実って感じがする(ジワ〜)。 さあ、後片付けです。 昔、よく言われたのですが...。 接客してる間に、スマートに片付けながら話をしなさい。 当時の社長の教えでした、今になって感謝してます。 という訳で、そんなに乱れてはいませんがついチョコチョコと直してしまいます。

 そうそう彼女の見てたワンピースやキャミそれにタンクトップ、その辺りのラックのハンガーの乱れもチャンと直してット。 そんな風にきちんと並べてるとふと思い出すのがあるお客さんに言われた一言、「店長って、もしかしてA型?」はい、確かに私はA型です。 今 この店では私一人なので、すべて自分がやらなければという状態で仕方なくチョコマカと整理整頓してます(ヒイ〜)。 どうやらマメに整理してると、A型の几帳面な感じらしい。 暫く前までは、よくO型に間違えられていたんです。 現に私の親はA.Oなのでどちらの要素も有るようで、それに一緒に仕事をしていた後輩がいろいろマメにやってくれたので私はヘラヘラと接客していればよかった。 その為おおざっぱな私、まめに働く後輩と言う目で殆どの人がO型と勘違いしていました。 こう見えて細かい仕事もやらせるとそこそこにこなします、リメイクなどの商品もお客さんに楽しんで貰ってますよ!(プチ自慢)

 ニヤニヤ思いながらラックのハンガーを等間隔に並べてると、先ほどの二人が店の入り口でニコニコ。 「あれ!どうしたの? グルッと散歩がてら商店街を回って来たの?」 すると彼女が 「さっき 気に入った物が有ったのに、シャツの話ばっかりで忘れてたの! それに買って、って言っても買ってくれないんだもん。」と言う事で二人は、また戻ってきてくれた。 でも自分も反省、そう言えば彼との話の合間に彼女の事をほったらかしでした。 本当ならば私は、もう少し二人の会話に入って、彼の事と彼女の事どちらにも気遣いながら話すべきでした。(ゴメンナサイ) 「買ってっていっても...。彼のシャツ高かったし、しょうがないんじゃない。」 「そうだよね!」って彼女、あれ? 最初入って来た時のイメージと違う、よく居る彼におねだりして買って貰えればラッキー的な人かなって思ってました。(失礼) どうしても恋人同士でだったり、友達同士でだったりするとこちらも控えてしまうものです。 何せ控えめな私ですから。(エ〜!!) そんな話はほっといて、さあ彼女の服を選びましょう。 「どれが気に入ってたの?」私が聞くと素早く、「これこれ、これが気に入ってて」 「これどんな着方すればいいの?」

 よし、今度は彼女のコーディネートです。 彼女が差し出したキャミワンピ、渋めで大人っぽい。 「そうねェ...。 重ね着で、中にこんな長袖でもいいし、レースのキャミでもいいし、上からチュニックもいいですね。 で、その上にカーディガンやジャケットだとちょっと肌寒くてもいけるでしょう。 「重ね着が難しくて、わからないんですよ〜。」結構こんな事思ってる人多いです、聞いてくれれば私の知る範囲でアドバイスします。 常連さんの中には私の言う通りにそのままセットで買ってくれるお客さんもいるのです、そこそこのコーディネートは出来ちゃうよ! またプチ自慢しちゃいました。 ところで彼はと探したら、外でマッタリと一服してる。 「自分だけゆっくりしてないで、彼女のも見てあげてよ !」 「あ!ごめん。」と、最終的には三人で色々話しながら彼女の洋服も決まり、楽しみながらお買い物していただきました。 「ありがとうございました。」通りまで出て挨拶してたら、入れ替わるようにお母さんと娘さんらしき親子連れ風のお客さんが入って来ました。 「いいじゃん! なに言ってんの?意味判んない。」って、何やら怪しい雰囲気! どうしたんだろう...。  つづく

 

VOL.3 (050402)

 お母さんと娘さんらしき親子連れ風のお客さんが入って来ました。
「いいじゃん! なに言ってんの? 意味判んない。」って、何やら怪しい雰囲気! どうやら娘さんの選ぶものと噛み合わないようです。

 こんな風に親子連れのお客様の時は結構神経使います。 娘さんはかなり積極的に物色していて、それをお母さんが遠目に見てる風。 私も暫く二人の流れを観察してしまい、一寸間が空いてからハッと我に返ってそろそろお母さんと話してみよう。 何から話したらいいのか、「今日は娘さんとお買い物ですか?」「そうなんですよ、あっちこっち色々連れ回されてもう...。」「高円寺は見だすと店が一杯有るから大変ですよね。」 お母さんとそんな話をしてるうちに彼女は何やら好みの物がいくつか見つかったようです、そろそろ商品の説明をしないといけないですよね。 様子を見ると彼女は自分の好みがハッキリしてるようなので、その好みに沿って紹介していきましょう。 どうやら彼女はセクシー系がお好みのようで、首の空きが広いニットにキャミソール、ボトムにはシホンのスカートでかなり大人めのコーディネートにしてみました。 彼女は見たところ16.7の高校生風なので、やっぱりセクシーすぎるかな? 一寸不安です。

  案の定、お母さんからだめ出しです。 「あなたそんなに大人っぽいの着るの?」「いいじゃない、私はこんな綺麗目系が着たいの!」 そうですよね、お母さんとしてはあまりエッチ系はちょっとねえ〜。 だって肩がはだけたり、かがんだりしたら胸の谷間が見えたりで親としてはもう一寸おとなしい物着て欲しいと思うのも無理は無いです。 私も気持ちは分かります。 でも彼女のお姉さんっぽい物着たい気持ちも分かります。 こうなったらどちらの意見も取り入れようじゃありませんか。 「ニットは今年首の空きが広いのが主流なので、彼女としては譲れないと思います。 だからキャミをレースのタンクトップにしたらどうです。」 私は露出の少ないタンクを出して彼女に見せた、彼女はそれならと言う顔で私を見てうなずいていた。 お母さんも「それなら何とか許せるかなァ..。」ようし..。 お母さんも一寸納得してくれた。 チャンスです、お互いの気持ちが歩み寄ったんです。 ここでもっと納得してもらう為に、「スカートの下にデニムを穿くと今風ですし、露出度も少なくなりますから安心でしょう。」 とデニムを持ってきて当ててみる。 これでお母さんとしては大人しい、可愛い格好の出来上がりです。

 「暖かくなったらパンツを穿かなければ綺麗目でしょ!」 と彼女にも納得して貰う、そこでもう一つ提案です。 「空きの広いニットの上に、お薦めジャケットが有りますよ。」 なんて調子に乗って薦めてみます、すると「えッ!どんなのですか?」と彼女が反応してくれた。 すかさずジャケットを見せると、ササッと素早く試着して見せた。 おっと彼女は結構試着慣れしてます、あなたなかなかやりますね〜 なんて心の中で感心したりして...。 そんな事はどうでもいいんですが、ジャケットを着たらそれはそれはもう 高校生にはとても見えません。 大学生か若いOLさんです。 と言う事は似合っているという褒め言葉なんです、最近の若い子は手足が長くてスタイルがいいので見栄えがします。 羨ましい。 私にも もう少し身長が、手足が長かったらとつい愚痴も出てしまいます。 そんな事を考えながら2.3着 着て見ると、本人かなり気に入ってくれてかなり脈ありなようです。 これはかなり好い線いってます。 もう少し押せば何とかなりそうです。 ここで私の遠慮が出るんです。 心の中にもう一人の私が居て、この辺で少し二人で相談出来るようにしてあげたらどうってね。 そんな気持ちから、二人で話が出来るように一寸離れてみる。

すると二人で何やら話してる。 最初入って来た時には一寸険悪なムードだったのが、やっと二人で相談しながら和やかなムードになって来ました。 よほど色んなお店を廻ってきて疲れていたのでしょう、これで落ち着きそうな感じなので安心したのかお母さんも彼女の事を考えながら相談に乗ってあげてます。 よかったです。 いよいよ相談も終わって私の方に欲しい商品を持って歩み寄って来て、「ジャケットはまた今度にします。」 そうですよね、そんなに調子よくはいかないですよね。 内心残念と思いつつ笑顔で 「ハイ! 気になったらまた寄ってください」と、次の機会に期待しながらお会計を済ませる。 いつも思うんですが、私の高校生の頃は親に洋服を買って貰う事って無かった。(貧しかったので) 彼女達は幸せものだなァ...。 なんてコッソリひがんでみたりするのです。 「いいよね、お母さんにこんなに買って貰って。」「お母さんに感謝しないとね!」 なんて余計な事をチクリとつい口走ってみちゃう。 お母さんはここぞとばかりに 「そうね! 親孝行してもらわなくちゃ」そんな会話を聞きながらニコッと愛想笑いをする彼女。 ムム..この世渡り上手! とか、勘ぐってしまいます。

 「そうだ! アルバイトしてるんだから、給料貰ったら返してもらお〜っと。」「エ〜。 お母さ〜ん。」 「ンッ アルバイトしてるの?」 「そうなのよ、スーパーのレジ」「なんだ、ただのワガママ甘えん坊なのかと思ったら違うんだ! ゴメン ゴメン!」 私は彼女を勘違いしてました。 お嬢様育ちなのかと...。(失礼しました) 彼女は彼女なりに頑張ってたのね、私の人を見る目も当てになりません。 「ありがとうございます。 また寄ってください。」 と送り出したら、「これは、お母さんが買ってくれるって言ったじゃん。」って言いながら帰っていった。 しっかり娘!! でも当たり前か、自分の給料は自分の物。 買って貰う時はお母さんのお金! 出来るものならそうしたいもの。 またその内、今度は自分で稼いで買い物して欲しいなァ...なんてブツブツ独り言いいながら後片付けです。 余計な事言っちゃたかな? またオヤジ度発揮です。 ヘヘ  だけど、そんなオヤジだからこそお母さんの気持ちも分かるし彼女の気持ちも一寸分かってあげられるのかも...。 自分で慰めてるのよね〜。片付けも終わり、パソコンのチェックするかァ。

 オッ メールが来てる、どれどれ。 ンッ何これ。毎回チェックするたびに迷惑メールが来てる、削除する手間がわずらわしい勘弁してくれ〜。 お客さんからのメールが来るとホッとする自分が情けない、何かご意見ご要望等御座いましたら遠慮しないでメールしてください。 そういえば迷惑メールやワン切りで稼いでいた会社が摘発されて、その会社の社長が女性だったのにはビックリでした。 こんな時はそんな会社はドンドン摘発されろ! ってつい思ってしまうのは私だけではないでしょう。 最近では振り込め詐欺が騒がれてますけど...。 などと、ダイアリーを毎日仕事の合間をぬって書いてます。 そこに一人のお得意さんが 「どうも〜。」 って入って来た。 自分の自慢話ばかりする人です。 たまんないんですね、この手のお客様。 聞き上手に徹しなければいけません。 アイヅチ打ったりするだけで話がドンドン盛り上がってゆく、一寸おだてるようなことを言えばとんでもない事を言い出します。 聞いてもいないのに女の子にモテてる話や洋服も一杯有るからって、そんな あなた ウチでそんな話されても...。 ウチは洋服屋ですから。 と思いつつ、何とか洋服の話に持っていくと仕方なく長袖のT-シャツや綿のシャツなどを物色し始める。 それでもだんだん申し訳ないと思うのでしょうか、何とか自分の着れそうなシャツを選んで買ってくれたりするんですがそれもたまにです。

 殆どが自慢話で終わるのです。 こんな人はきっと友達がいないんだろうなあ...話ぐらい聞いてあげようなんて、いらぬ事まで考えてしまう。 自慢話を聞いてるほど辛いものはないです、本人はそんなつもりは無いのでしょうが。 アッ だめだめ、お客様の悪口はご法度です。 とは言うものの、私だって人間ですもの、愚痴の一つも出ちゃいますよ! でもこのお客様 人が好いって言うか、お人好しというかなんか憎めないんです。 気が小さいんだろうなァ、だから自慢話しちゃうんだろうな。 (分析しちゃってます。) いつでも頑張って話し聞いちゃうよ〜。 だからまたその内買い物してね。 近い将来に希望を持ちながら話を聞いていたら、他のお客様がゾクゾク入って来てだんだんそのお得意様の居場所が無くなって来ました。 さすがに話してると邪魔だと感じたのか、「じゃ、また来ます。」 とソソクサと帰ってしまった。 気を利かせてくれたんです。 こんな優しさも持ってるんですよね。              つづく

 

VOL.4 (051229)

 そんな人の好いお客さん達に支えられてなんとか頑張っています。 そうこうしてる内にまた他のお客さんです。

 「いらしゃいませ! どうぞ、良さそうなの有ったら鏡で合わせて見てください。」 女性の一人という事でチョット緊張してるのか、反応が薄い(無反応)です。 こんな時悩むのが、つかつか近付いてあれやこれや紹介するのがいいのか。 遠めに見守るのがいいのか。 ただ見て貰ってサラッと流されるのも困るし、だからといって闇雲に押していっても嫌がられるのもマズイし...。 どうしたらいいのでしょう...。 そうだ! 近くに有るディスプレーを直そう。 そして商品をたたみながらなら話が出来るかも? さっそく実践、どうやら大丈夫そう。 近くに居ても平気みたいです。 色々たたみながら様子を見てると、だんだんお客さんの求めている物が何だか見えて来たみたい。 手にする物の延長線で膨らませようと紹介し始める。 オッ! お客さんが答えてくれました。 「最近流行の重ね着が難しくて、このへんのヤツを着たいんですが何と合わせたらいいですか?」 また聞かれました。 やっぱりそこが一番のネックになってるんですね、そう言うお客さんが非常に多いんです。 こんな風に聞いてくれる人には色々アドバイス出来るけど、何にも言えずにサーッと見るだけで出て行ってしまう人も沢山います。

いつも思うのが 男の私じゃァ話し難いのかなァ ッて、怖そうに見えて意外にそうじゃないんだけど...。 やっぱりカワイイ女の子が居た方が聞き易いのかなァ...。 (つぶやき) ロフトでパソコンやってるとつい真剣な顔になってしまうのです。 まッこんな言い訳はこのへんにしといて アッ! もう一つ、私がイイ男だったらまた違ったかも...? そりゃあそうだけど、そこはあまり考えず。 次ぎ行ってみよう! 何の話だったっけ? そうか 重ね着がネェ...。 面倒といってもやっぱりレ−スやスパンコ−ルが付いたかわいいのも欲しいし、NEWSのペ−ジを見てもキャミやタンクトップばかりですよね。 だからカ−ディガンがよく売れるのでしょうが、仕事で忙しいから毎朝考えるの大変なんて言わずに頑張って! 簡単な合わせ方しましょ。 その為にも是非声を掛けてください。 とッ本題のお客さんですが、だんだん打ち解けたみたいでやや顔が明るくなって来ました。 「スカ−ト穿いてみていいですか?」 エッ? 見てる物と全然違って、いきなりスカ−トって? そうです、初めに外から 「すみません! スカ−ト見せてください。」 って言えなかったみたいで少しして慣れて来たからこそ言えたようです。 良かった、こうしてだんだん拡げられればいいんです。 結局 色々試してみて、最初に気になってたスカ−トとタンクトップになったけど納得して貰えたみたい...? 「この店いつも気になってたんだけどなかなか寄れなくて、やっと寄れました。」 彼女が試着してる間に入って来た別のお客さんも、たまたま聞き付けて後ろでウンウンとうなずいています。 誰かと接客をしてると入り易いのか、いつの間にか商品を見てます。

大丈夫。 噛み付きゃしないから。
そんな会話をしてる内にどちらのお客さんもお買い物してくれてます。  こんな時不思議なのが見知らぬお客さん同士が仲良く話しが出来る、お互いの似合いそうな物を薦めあったりしてます。 友達の輪ならぬお客さんの輪。 ホラホラまたそんなお客さんが入って来ました。 そのお客さん、実はもうウチの店を知って3年位に成るのかな...。 最初は恐々でしたが今はもうすっかり馴れて、自分の目的をシッカリ言えます。 会話の中にも安心して任せてもらえてる感じがします。 前は「ヒス」でばかり買い物してたけど、最近じゃ殆どここでしか買わなくなった。 仕事の合間にホームページでチェックしては可愛いアイテムをお買い上げ、「会社が近くだとイイよね! チョットの間に買いに来れるからフフフ。」 ちゃめっ気タップリな笑顔でサラッと言ってくれる。 嬉しいです! 考えてみると、彼女は相当買い物してくれてる。 もうメンバーズカードの割引も何度も受けている常連さんになったなァ...。 人見知りする感じで初めは会話もギクシャクしてたような、それが今では他の常連さんと「アッ どうも〜」なんて挨拶だってしちゃいます。 彼女もまた他の常連さんと話しながら選ぶようになるのかな? 性格が良さそうだから直ぐに打ち解けるでしょう。 ただ いつも仕事の合間だからノンビリ出来ないのが残念です。 今度 是非ともユックリ話してみたい、今まで「キレイメ系はチョット...」って言ってたのに最近そっちの方も結構興味出て来たみたいだし。 そうそう重ね着系と綺麗目系(セレブ系)どちらも買えるのもウチの魅力なんです。 だからその日の気分に合わせてお姉さんになってもいいし、健康的なファッションもイケる。

彼女も仕事上 打ち合わせであまり得意じゃないジャケット着て、チョット大人な格好してかないと相手に「アレッ! 今日もラフだね。」なんて皮肉も言われちゃうらしい。 でも今度は大丈夫馴れてきたお店でスカートにも挑戦、そう挑戦! うちに来るようになって今まで自信が無かった物にチャレンジする、そんな人が沢山います。 デニムを穿いた事無い・高校以来スカートを穿いた事がない、他にも細かい部分ではまだまだ色々有ります。 たとえば首の開いたT−シャツが苦手だったり...。 でも彼女は首の開きは克服出来たみたいです。 ボトムもハーパンにブーツが出来たんだから、スカートももう時間の問題です。 思い切って一歩進める、少しだけ背中を押せればいいんですが...。 ウチでなら安心して選べるように似合いそうな物探さなきゃ!   そうだ! こんな事も有るんです。
メーカーの展示会とかで可愛いのやら、カッコイイのが見つかるでしょ。 するとその商品が似合いそうな人の顔が浮かんでくる、その逆も有るのです。 馴染みの深いお客さんにはこれが似合いそうだなァ...なんてね! 結構思い浮かべるものなんです。 そして喜び勇んでお客さんに報告するのです。 本当はそういう商品が沢山有ればもっといいんだけど、なかなかそうもいきません。 来年はまた新しいメーカーでも開拓しますか? 何か新しい風 欲しいもんね! というか、自分が欲しい。 正直 私が言うのも変ですが今までの既存のメーカーが悪い訳じゃなく、メーカーというのはどうしても自社の得意分野が有ってそのニオイが強くなる傾向が有ります。 新しいメーカーが加わる事によってお互いに相乗効果につながる事もあるでしょう。 その為にも そしてお客さんの為にも探さないといけないな。 来年への宿題です。

オヨ! アレ? ちょっとチョット! お得意さんがいつもと違う女の子と来店、なによ! どうすんの? オレ! って感じ。 てえへんだ〜親分、客人が別の女の子連れて来ちゃったッスよ〜。 こんな時どう話しかけたらいいのか、かなりこのパターンも気を使いますね〜。 普通に接客してる内にこっそりストレートに聞く これが一番ですが、出来るタイミングまで繋ぐのがムズイ! 新しい彼女と聞いて安心、だったら早く言ってよ! 先ず紹介してよ! まッ色々注文は有りますが取り合えず普通に会話が出来る。 モテルお客さんはいいよね、すぐに新しい彼女が出来て。 なんて つい憎まれ口でも利きたくなるッス。 独身はいいなァ...。 ン? まずいまずい、そんなつもりは有りませんのです。 「店長! じゃあまた!」 って、オイオイいったい何しに来たんだよ〜。 新しい彼女見せに来たのかァ〜。 まあなんにしてもそうやって遊びに来てくれる事が嬉しい、だってそのお得意さんの性格は男の私も大好きです。 たまにはこんな事も有るよ、そうそうこの人なら許せるってかァ。 ここだけの話、連れて来る子来る子みんな可愛い。 これが悔しい...。 オイオイ
逆パタ〜ン これはまた別で嬉しい、色んな人と来てはおねだりする女性。 やっぱりいるんですねェ〜、羨ましい〜 ン? これも違う! ホントに有りがたい。 店長 次来る時はこれね! って次の予定まで決めてく人もいたりで、その笑顔が怖い! 一緒に来る男性はそれはそれでいいのかも? やってあげてるという満足感っていうのかなァ...、だってニコニコしてるし。 「金持ってんぞ!」マーク ピカピカですから。 そうマークピカピカ といえば、エロモードピカピカのオヤジ見ちゃった。 (見たくないけど。)

そのオヤジの話聞きたい?    ンニャ! したい!
しばらく前にウチのスタッフと某モモタン寿司へ出掛け、 美味しい中トロなんか食べながら上機嫌で話してたらそのオヤジがやって来た。 ちょっと若そうな そしてちょっと綺麗、おまけにデカイ! そんな女性を後ろに従えて、ガラガラと引き戸を開け毎度どうも的な顔で偉そうに入って来る。 カウンターの角を挟んで私達の隣にドッカリ陣取り、オーダーは オッ!お兄ちゃんッ いつものヤツ! 的な、大体想像はつくでしょうが...。 ご存知の通り、例の調子です。 良くあるパターンで私達は何もお構いなくただひたすら話していたら、エッ! ウチのスタッフの目がおかしい...。目が泳いでる! 何かなと思いフッと隣を見るとこのエロオヤジ! 事も有ろうに我らの面前で大胆にも連れの女のスカートに手を入れてるではありませんか。 その女は周りに見えてるから止めて! みたいに手を払うのですがそのオヤジッ まだ止めません。 ウチのスタッフはまだ若く、角度的にどうしてもその方向を見てなければいけない。 それを知っててなおも続ける、ウチのスタッフに見せ付けるようにアカラサマに! ホント腹が立つ! バカオヤジ。
直ぐに店を出たのは言うまでも無い。 思い出すと腹が立つ。 あのバカエロオヤジ!  どうせ 金に物言わせてやってんだろ〜!    っていうか もうこんなオヤジの話はヤメにして、かなり脱線しましたがお店に戻ります。

世の中 いろんな人がいます。 気分を切り替えて! さあッ お仕事 お仕事。 「いらっしゃいませ!」 昨日売れたトルソー(ボディー)の着せ替え、ディスプレー変えとかないと。 結構楽しいものなんです、ボディーの着せ替えって。 その出来で自分の気分も変わります、上手くコーディネート出来た時は大満足! 気が乗らない時は最悪です。 なかなか決まらなくて、しょうがない 「これで取り合えず間に合わせに!」 なんてやろうものなら一日気分が乗りません。 結局またやり直しなんて事もしょっちゅうで、そんな事の繰り返しで突然アイディアが浮かんだりする。 そうやって色々なコーディネートが出来上がってゆく。 あれこれ動いてるうちにお客さんが来てくれました。 お得意さんが紙袋提げて入って来た、「おいたん! 短い間でしたけどお世話になってありがとう。 これ御菓子、食べて!」 まだ若いのにちゃんと挨拶出来るって、彼女の育ちが良かった事を感じさせられます。 それにしても大阪弁で愛敬のある子が、折角馴れた東京から実家に帰るのは淋しいものでそんな挨拶されると余計に哀しくなります。 「大阪行っても元気でやってね! そして 東京に遊びに来る事が有ったらまた寄ってね。」 なんてありきたりな事しか言えなかったけど、ほんと知り合いになれて良かったのに残念。 出会いと別れ、そしてまた新たな出会いに期待しつつ頑張っていこう!        つづく

 

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